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横浜地方裁判所 昭和40年(タ)67号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】一、その方式ならびに趣旨により真正に成立した公文書と認める甲第一、二号証と本件口頭弁論の全趣旨によれば、原告と被告鉱洽とは昭和一八年五月二八日届出をして正式に婚姻した夫婦であること、ところが昭和四〇年七月二八日東京都文京区長に対する届出により、戸籍上右両名が協議離婚をしており、同年八月三日に被告鉱治と被告弘子が横浜市南区長に対する届出により正式に婚姻をしていること、被告両名間には昭和三九年二月四日生れの長男政男があり、右婚姻届出と同じ日の昭和四〇年八月三日父である被告鉱洽の出生届により入籍していることが明らかである。

二、原告ならびに被告鉱洽各本人尋問の結果によれば、原告と被告鉱洽との右協議離婚の届出は鉱洽が原告の氏名を記載しその名下に有合印を押印するなどして届出書を作成し、これを東京都文京区長に提出したものであることが明白であって、被告らはこの届出がその前年の昭和三八年九月頃ならびにそれより前の昭和三六年三月頃なされた協議離婚の合意にもとづくものであると主張するが、被告らの主張自体ならびに被告鉱治本人尋問の結果によっても、右離婚の届出当時原告に離婚の意思がなく、離婚届に原告の署名押印を求めてもこれに応じられる見込がないので、同被告において原告に無断で右の届出書を作成し提出したものであることがわかるから、右届出による離婚は妻たる原告にその意思を欠くものとして効力がないものといわなければならない。協議離婚が有効に成立するためにはその届出の当時夫婦の間で協議離婚の合意がなければならず、わが民法上協議離婚は届出によって成立するものであるから、右協議離婚の合意にはその届出をすることについての合意を含むものと解すべきである。したがって、右届出前の被告ら主張の時期に、仮りにその主張のような婚姻の合意が成立したとしても、その後原告においてこれに同意しなくなっている以上被告鉱治がした本件の離婚届をさきの合意にもとづく有効なものということはできないのである。

三、このようにして、原告と被告鉱洽との協議離婚が無効である以上、昭和四〇年八月三日になされた鉱治と被告弘子との婚姻は重婚となるから、妻である原告は民法七四四条、七三二条によりその取消を請求することができる。そして被告らの婚姻を取消すとすると、民法八一九条第二項の精神にかんがみその子政男の親権者を被告鉱治と定めるのが妥当である。婚姻の取消の場合に、親権者を定めることにつき民法は何ら規定するところはないが、裁判上の離婚と同様に訴によるものであり離婚の場合に準じて父母の一方を親権者と定めなければならないと解せられる。       (森文治)

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